私は、自動車の運転免許を持っていません。取得しようと思ったこともありません。したがって、自動車を自分で運転したことはありません。免許を持っていない理由を問われたら、これまでは、「自動車を運転する必要に迫られたことが一度もない」と答えてきました。
ただ、これは、理由のすべてではありません。(当然のことながら、)私は、必要に迫られないかぎり何もしないというわけではないからです。本当のところは、私が自分を信用していないからであるようです。たしかに、私は、ハンドルを握ったら間違いなく事故を起こすという「謎の確信」を昔から抱いています。
日常生活の中で「本人確認の書類」の提示を求められると、多くの人は、大抵の場合、自動車の運転免許証を見せるはずです。しかし、免許を持たない私は、代わりに、パスポートを見せるのが普通です。パスポートを最初に取得したのは、海外に出るためではなく、「本人確認の書類」として国内で常時携帯するためでした。(とはいえ、免許証ではなくパスポートを本人確認の書類として提示すると、驚かれることが少なくありません。)
免許を持たず、運転もしない以上、自動車でアクセスすることが前提となる場所とは縁がありません。たとえば、私は、ゴルフ場にもスキー場にもキャンプ場にも行ったことがありません。(当然、ゴルフもスキーもキャンプも経験がありません。)ゴルフ場、スキー場、キャンプ場の中には、公共の交通機関のみで辿りつくことができるものがないわけではないかも知れませんが、少なくとも、公共の交通機関のみによるアクセスは想定されていないはずです。
このような観点から眺めると、他にも行ったことがない施設が多いことに気づきます。その代表が「道の駅」です。1993年に正式の制度が発足した道の駅は、全国に1158箇所あるようですが、私は、そのいずれにも行ったことがありません。写真や映像により、そのいくつかを見たことがあるだけです。したがって、道の駅がどのような施設なのか、具体的なことは何も知りません。
「道の駅」という名称は、「駅」という文字を名称に含んではいても、本質的には、道路を往来する自家用車の休憩施設であり、鉄道、路線バス、徒歩などで訪れる者のためのものではないのか、それとも、誰が行っても面白い場所であるのか、私にはまったくわかりません。