私は秋を大の苦手としています。もちろん、冬も苦手です。以前に書いたように、事情が許すなら、4月から9月は北半球で過ごし、10月から3月のあいだは南半球で暮らしたいくらいです。(とはいえ、暑すぎるのも苦手なのですが。)
毎年、冬になると、「今年の冬の寒さは異常だよ」「暖冬だなんてフェイクニュースでしょ」「冬眠させてくれ」などと毎日つぶやいています。以前に書いたように、9月30日の翌日は3月1日でかまわないとすら思っています。これもまた、以前に書いたとおりです。
特に今年は、電気代を例年並みに抑える必要から、自宅の暖房の設定温度を去年より5度も下げており——それでも25度ですが——そのせいで、屋内でも震えながら過ごすことを余儀なくされています。
ところで、寒さに耐えながら春を待つ私にとって、もっとも待ち遠しいのは冬至です。今年の冬至は来週の木曜日(22日)であり、この日を境にして昼間の時間が少しずつ長くなるからです。秋分の日から冬至までは、時間の経過とともに気分が暗くなりますが、冬至を過ぎると、今度は、生活全体が春を待つ態勢に入り、私の気分も少し明るくなります。
『ゲーテとの対話』において、エッカーマンは、冬至に先立つ時期には晩年のゲーテの気持ちが沈んでいたことを記しています(『ゲーテとの対話(下)』(山下肇訳、岩波文庫)37ページ)。ゲーテのような天才すら、冬の暗さと寒さには弱かった——ドイツに暮らす者にとっては致命的であるような気がするのですが——ことを知り、天才ならざる私もまた、秋分の日から冬至までは、精神的な不活発をみずからに安心して許すことにしたいと考えています。