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郵便切手は、コレクションの対象となりうるすべてのもののうち、もっとも有名なものの1つです。現在の事情はわかりませんが、少なくとも20世紀には、有名人や上流階級に切手のコレクターが多く、そのため”king of hobbies”などと呼ばれていました。(ただ、同じ名で呼ばれる収集は、郵便切手以外にもあるようです。)
しかし、コミュニケーションの手段に占める郵便の地位が相対的に低下するとともに、切手が実際に使用される機会もまた少なくなりました。そして、そのせいなのでしょう、郵便切手の相当部分について大規模な値崩れが発生しているようです。戦後に国内で発行されたものの場合、現在の取引価格が——特殊な例外はあるとしても——額面にかぎりなく近づいているという情報に接したこともあります。投機を目的として郵便切手を収集していた人々は、資金を回収することすら困難な状態に陥っているに違いありません。
現在でもなお、日本においても、また、外国においても、新しい郵便切手が日々発行されていますが、郵便切手がその実用的な価値を失いつつあることは事実です。(この1年間で私がもっとも多くの郵便切手を同時に目にしたのは、ごく少額の印税を切手で受け取ったときです。)このような状況の中で、郵便切手は、郵便とは関係のない、あらぬ方向へと変えて行くことになるのかも知れません1 。
- わが国には、1945年に設立された「公益財団法人日本郵趣協会」という郵便愛好家のための組織がありますが、このような組織の意味もまた、否応なく変質するはずです。 [↩]