普段の生活において私がもっとも頻繁に訪れる小売店は、近所にあるスーパーマーケットです。年末年始を除き、毎週2回、大体において決まった曜日に買いものに行きますから、1年間に合計100回くらい足を運んでいるはずです。2022年の最後の買いものは12月26日、そして、2023年の最初の買いものは1月5日でした。(大混雑して狂乱状態の店内に入りたくないため、26日までにすべて買いものを済ませ、正月は、備蓄したもので食いつなぎました。)
しかし、去年私が最後に立ち寄ったのは、近所のスーパーマーケットではなく、荻窪駅の近くにある文房具店でした。また、私が今年最初に立ち寄ったのも——偶然にも——同じ文房具店でした。昨年末に最後に購入したのは万年筆のカートリッジであり、今年最初に購入したのはA5型のノートです。
私が小学生のころには、自宅から荻窪駅まで歩くと、その途中にそれなりの規模の文房具店が4軒ありました。今でも営業を続けているのは、そのうち1軒だけです。(この1軒は、近所にある小学校が指定する学用品のみをほぼ専門的に扱う特殊な店で、私は店内に入ったことがありません。)新しい文房具店はありません。自宅と高井戸駅のあいだには、かつては3軒の文房具店がありましたが、こちらは、3年前までに全滅しました。
文房具店の役割の一部がコンビニエンスストア、スーパーマーケット、100円ショップなどに奪われたことは事実です。それでも、コンビニやスーパーで販売されている文房具は、数の店でも種類の店でも、文房具店に代わりうるほどのものではありません。
実際、私が昨年末に購入した万年筆のカートリッジは、決して特殊ではありません。「文房具店」と名のつくところなら、どこでも置いてあるものです。それでも、コンビニやスーパーでは売られているものではありません。今年になってから購入したノートについてもまた、事情は同じです。
やはり、文房具店が姿を消したのは、「文字を手で書く」作業に必要な道具類を中心として、文房具全体の需要が減少したせいであるに違いありません。もちろん、この点は、誰が考えても明らかではありますが。