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電子レンジの買い換えについて

by 清水真木

 先週の月曜日、8年前から使っていたオーブンレンジを処分し、新しいものに交換しました。

 私は、年に何回か、真夜中に甘いものが猛然と食べたくなることがあります。以前は、このようなとき、オーブンレンジでクッキーを焼いて食べていました。(クッキーが焼き上がるとき、蠱惑的な匂いがオーブンから流れてきます。しかし、食べると間違いなく太ります。)

 しかし、2年前、学内の雑用に忙殺されていたころ、真夜中に起き出し、クッキーを成型してオーブンに入れて加熱を始めたところ、オーブンが煙を吐いて止まってしまいました。その時期は、気分に余裕がなく、オーブンを「叩いて直す」(?)ことを試みたものの、オーブンは復活せず、それ以来、電子レンジの機能のみを使ってきました。

  ところで、今回は、同じメーカーの同じサイズの機種に買い換えたにもかかわらず、以前とは大きく違っていたことが1つありました。サイズがほぼ同じであるにもかかわらず、重量が約半分になっていたのです。

 運んできてくれた電気屋さんからは、「このままでは大きな地震のときに落ちてしまう危険があるから、滑り止めを敷いておいた方がよい」と勧められました。

 たしかに、本体が軽すぎるのか、扉を開けるために手前に引くと、扉が開く代わりに、レンジ全体が手前に動いてしまいます。扉を手前に引くときには、片方の手を本体に添えていなければならないのは少し面倒です。

 とはいえ、やはり、新しい家電は、(たとえ安物であるとしても、)とても気持ちがよいものです。

 十分に動かない古い家電を使い続けることは、危険であるばかりではありません。

 半分壊れたオーブンレンジを使い続けるかぎり、たとえば「オーブンで調理」という指定のある冷凍食品を魚焼きのグリルの余熱を用いて加熱するような余計な工夫を強いられます。そして、このような小さな手間が日常生活の中でいちいち必要になるというのは、精神衛生の面でも、決して好ましいことではありません。床に置かれた邪魔な荷物と同じように、半分壊れたオーブンレンジのような不安定な道具は、たえず小さく自己主張することにより、私の体力と注意を少しずつ奪います。物理的な生活環境を形作るものを更新することは、このような注意力の浪費を防ぐという点でも意義があることなのです。

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