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負債としての蔵書について

by 清水真木

 私が所有する蔵書は全部で3万冊くらいあります。このうち、私に実質的に属しているのは、全体の約10%に当たる3000冊程度にすぎません。残りはすべて、上の世代から否応なく引き継いだ中途半端に古い(しかも、保存状態が必ずしもよくない)本で、私自身はこれをほぼまったく利用していません。

 それでも、私は、自宅の地下に約30畳の書庫を作ってこの書物を収めています。私が生活のために使用しているスペースよりも書庫の方が広いので、「自宅に書庫が付属している」のか、それとも、「書庫に生活スペースが付属している」のか、私にはもはや判断ができません。

 私にとり、蔵書はまぎれもなく負債です。維持するコストがバカにならないからです。それでも、私が抱える蔵書については、「使わない」という理由で簡単に処分するわけには行かない事情があります。

 このページを読んでいる方なら想像がつくように、私が抱えている蔵書の相当部分は祖父の蔵書です。以下で説明するように、正確な数は不明ですが、2万冊程度あるはずです。また、これについても全部を数えたわけではありませんが、サンプルを採って計算したかぎりでは、このうち2割程度に本人による何らかの書き込みがあります。当然、私が使わない本であるからと言って、売却したり廃棄したりすることはためらわれます。また、これ以外にも、「清水蔵書」という大きな印鑑が押されているものがたくさんあります。

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