最近、雨の日の夕方に近所を散歩していたとき、傘をさして、無灯火で、スマホをいじりながら、(当然、両手放しで、前方を確認せずに、)自転車を運転している――と言えるのかどうか、もはやわかりませんが――女性を見かけました。当然、スマホと自転車の両方が大嫌いな私は憤慨しましたが、それと同時に、ある突飛なアイディアが急に心に浮かびました。それは、道路交通法を改正してスマホを「車両」として扱ってもよいのではないか、ということです。
道路交通法が想定する「車両」の中には、動力も車輪も持たないものが含まれます。たとえば、馬や牛やそりは「軽車両」と見なされます。だから、形式的に考えるなら、スマホを「車両」に含めることには何の問題もないはずです。そもそも、スマホは、「移動」通信の端末であり、場所が固定されないことにその本質があります。「歩きスマホ」という表現を「スマホの運転」と言い換えることは十分に可能であるように思われます。
スマホが車両と見なされるなら、公道上でのスマホの操作(または運転)には「安全運転義務」が課せられることになります。スマホを片手に握りしめている者は、もはや歩行者ではなく「運転者」となります。スマホを片手に公道上を移動する者は、「歩いている」のではなく「スマホを運転している」ことになります。スマホの「酒気帯び運転」や「危険運転」は取り締まりの対象になるでしょう。
もちろん、自転車と同様、スマホを「運転」する者もまた、車道の通行がルールになります。何と言っても、歩道は歩行者のためのものであり、「スマホの運転者」のためのものではないのですから。
スマホを車両と見なすことは、公共の空間の環境を改善するのに大いに役立つと確信しています。
念のために言っておくなら、私は完全に本気です。しかし、それとともに、スマホが車両として扱われる可能性がほぼゼロであり、私の提案が突飛であることもまた、十分に承知しています。