現在の私の本務校では、授業の開始時と終了時のチャイムは鳴りません。チャイムが鳴るのは入試のときだけです。
チャイムについては、これを鳴らす大学と鳴らさない大学があります。どちらかが多数派であるのか、私は知りませんが、幸いことに、どの大学も、自分が多数派であるのかどうか、など気にしていないのでしょう。自分が少数派であるとわかっても、多数派に寝返る大学が続出する、などということはないのではないかと予想しています。
私の場合、出身の大学および大学院では、チャイムは鳴りませんでした。入試のときのみ、チャイムではなくサイレンが鳴るだけでした。
私は、いくつかの大学を受験しましたが、中には、入試のときすらチャイムを使用せず、定刻になると、職員が、試験場となった建物の各階の廊下をハンドベルを鳴らしながら巡回するところがありました。
非常勤として私がこれまで授業を担当した大学でも、チャイムの使用に関する方針はまちまちでした。初年度の最初の授業のとき、チャイムが鳴るのを待っていたら、いつまでも鳴らずに授業開始の定刻を過ぎてしまった経験、あるいは、反対に、チャイムが鳴ることを予想していなかったため、聞いたことがない謎の音楽が大音量で突然流れて驚いた経験が何回かあります。
前の本務校では、授業の開始時刻と終了時刻にチャイムが鳴るだけではなく、授業開始5分前に「予鈴」が鳴り、さらに、90分の授業のちょうど中間、45分の時点でチャイムが鳴りました。一日中大学にいると、朝から晩までチャイムばかり聞いていることになります。(現在の日本の大学で「予鈴」を鳴らすところは珍しいのではないかと思います。少なくとも私は、他には知りません。)
私自身が「チャイムなし」の環境でながく過ごしたせいか、少なくとも大学では、チャイムは鳴らさない方が自然であるような気がしています。昨日、次のような文章を書きました。
駅で流れる音声案内と同じように、大学のチャイムもまた、一種のパターナリズムの現れであるような気がしないことはないからです。