今から1年前、次の本を購入しました。
現在のところ、私は、新型コロナウィルスに感染していません。また、過去に感染したこともありません。さらに、身辺に感染者がいるわけでもありません。
それでも、現在のように感染者数が急激に増加している状況のもとでは、どれほど警戒していても、いつか感染するという前提のもとで準備を進めておくのが安全であるように思われます。
私が上の本を購入したのは、「自宅療養」には何が必要であるのか、また、何に注意すべきであるのかを確認するためでした。
この本に目を通したところ、幸いなことに、「自宅療養」に必要となる最低限のものは、すでに手もとにあることがわかり、おおよその準備を終えることができました。
とはいえ、この本に必要なものとして記載されているもののうち、実際に感染する前に手に入れられる見込みがないものが1つありました。それは「かかりつけ医」です。この本では、感染した場合、かかりつけ医に相談することが推奨されているのです。
私には「かかりつけ医」がいません。そもそも、私には持病がなく、医者の診察を定期的に受ける機会がないのです。
もちろん、体調が悪いときには医者にかかりますが、単なる風邪なら医者には頼らないのが普通です。
私の場合、予防接種を受けるために近所の内科にときどき出かけるばかりで、予防接種以外の理由で歯科を除く医者に最後にかかったのは、もう5年以上前のことになります。(それも皮膚科でした。「かかりつけ医」として普通に想定されているのは内科か、せいぜい外科であり、皮膚科や耳鼻科や眼科は「かかりつけ医」のプロトタイプではないように思われます。)
「かかりつけ医」なるものがどのくらい普通の存在であるのか、私は知りません。しかし、少なくとも、持病がなく、かつ、高齢者でないかぎり、日本人の多くには、「かかりつけ」と表現することができるほどの頻度で顔を合わせる医者などいないのではないかと勝手に想像しています。特に、人口の流動性の高い都会では、長期にわたって同じ医者にかかり続けるという想定は、それ自体として不自然であるように思われます。
私は、これまでの人生において大病を患ったことはありませんが、医者にはときどきかかることがあります。しかし、話していて安心できる医者、信用できる医者というものには出会ったことがありません。
私の狭い経験の範囲では、医者というのは、つねに相当に感じが悪く、最近は、言葉遣いだけは——ときには過剰に——丁寧になってきたとは言え、やむをえず診察を受ける相手であるにすぎません。少なくともこれまでのところ、私にとり、医者は、相談したり頼ったりする相手ではありませんでした。今後、「すばらしいお医者さん」を発見する可能性がないわけではありませんが、これについては、あまり期待してはいません。