昨日、次のような文章を書きました。
また、しばらく前、次のような文章を書きました。
以下は、その補足です。
今から4年ほど前、次のような事件がありました。
国内の大学に設置されているすべての学部のうち、医学部は、「就職予備校」兼「職業訓練校」の性格をもっとも色濃く帯びているところです。実際、多くの大学の医学部のカリキュラムは、国家試験から逆算して作られているはずです。また、学生の大半にとり、少なくとも国家試験に合格するまでは、勉強とは、広い意味における受験勉強以外の何ものでもないに違いありません。
医学部には、税金を原資とする多額の補助金が交付されています。したがって、1人でも多くの医師を社会に送り出すことを医学部の当然の使命と見なし、このような理解もとづいて入学試験における年齢と性別によるスクリーニングを正当化することは不可能ではありません。(実際、多くの大学が入試における不正をこのように正当化してきたはずです。)たしかに、医学部が単なる〈医学を学ぶ場〉にすぎないのなら、現在のような多額の補助金が各方面から集まることはないでしょう。
とはいえ、上の文章で述べたように、どのような大学のどのような学部でも、性別や年齢を理由に特定の受験者を不合格にするなど、本来はありうべからざることです。医学部がその例外であってよいはずはありません。医学部の本来の使命は、医学を教授することであり、医者を社会に送り出すことではないからです。医師としての適性を調べるのは、大学の入学試験ではなく、国家試験の役割でしょう。
日本の多くの大学の多くの学部と同じように、現在の医学部の教育では、100歳の老人が出願し、受験し、合格し、入学する可能性など、最初から想定されていないはずです。しかし、この100歳の老人に医者になるつもりがないとしても、また、たとえば面接において100歳の受験者が「医者になるつもりはない」と公言したとしても、この発言を理由にこの受験者を不合格とすることは適切ではないように思われるのです。
医師になることを本気で希望し、医師として十分に働くことができる者以外は入学させたくないのなら、つまり、文字どおりの意味における「職業訓練校」となり「就職予備校」となることが医学部にとっての理想であるなら、この理想を現実のものとするもっとも簡単な方法は、学部としての「医学部」を原則として廃止し、その代わりに、法科大学院と同じような専門職大学院としてのメディカル・スクールを設置することでしょう。
本格的な医学教育がメディカル・スクールでしか行われないなら——修了者が医師として社会に出る年齢は今よりも少し上がりますが——職業として医師を選ぶ能力と意欲があり、また、その適性がある学生以外、メディカル・スクールの門を叩くことはなくなるはずです。いずれかの大学の学部を卒業し、さらに数年間、「医師になる気はないが、医学は学びたい」などという理由で大学院に通うことを思いつく者は、きわめて少数であるはずだからです。そもそも、専門職大学院は、職業訓練のための機関ですから、医師としての適性を明らかに欠く受験者を堂々と排除することもまた可能となるに違いありません。