Home 言葉の問題 アプリを用いた外国語学習の非効率について(その1)

アプリを用いた外国語学習の非効率について(その1)

by 清水真木

 スマートフォンにインストールして用いるアプリの中に、外国語学習を支援するものがあります。世界的にもっとも有名なDuolingoを初めとして、いくつものアプリが開発されています。また、アプリの他に、ウェブ上のサービスとして開発されたものもあります。(新しいものとしてBusuuやGlossikaがよく知られています。)さらに、この分野には、パソコンにインストールするソフトウェアもあります。このタイプのソフトウェアを代表するのはRosetta Stoneです。

 私は、このような外国語学習関係のアプリやサービスが好きで、有名なもののいくつかについては、実際に触って遊んでみたことがあります。そして、これらのアプリやサービスのうち、特に外国由来のものを眺めていると、あることに否応なく気づきます。すなわち、これらのアプリやサービスなどでは、文法をそれ自体として学習することができないのです。

 基本的な表現、あるいは、日常生活においてよく使われるはずの表現を一問一答形式で覚えさせる点では、これらのアプリやサービスに違いはなく、差異があるとするなら、それは、何をどのように覚えさせるかに尽きます。

 もちろん、英語学習のためにアプリやサービスを使うのなら、(私たちはすでに中学校や高等学校において文法を学習していますから、)文法の提示がなくても、問題はありません。しかし、初めて学ぶ外国語については、事情が異なります。たとえば、ドイツ語の予備知識ゼロの状態でBusuuを用いてドイツ語を勉強しようとしても、間違いなく挫折します。というのも、たとえばBusuuが初級段階のユーザーに要求することは、画面に現れる画像とともに日常的な単語、熟語、定型的な挨拶などを繰り返し使って覚えさせることだからです。(この仕組みは、Rosetta Stoneに似ています。)名詞や冠詞の格変化、あるいは動詞の活用をそれ自体として習得する機会はないからです。

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