今から1年くらい前、次の文章を書きました。
以下は、これに関連する話です。
2020年の春に新型コロナウィルス感染症の流行が始まってから、講義科目については、学期末の筆記試験の代わりに、毎週オンラインで実施する小テストの総得点で成績を評価してきました。今年度の春学期も同様でした。秋学期も、特別な事情がないかぎり、同じ方式を続けるつもりです。
どのような授業でも、その内容、進め方、成績評価の方法などは、試験の実施形態から逆算して決められるのが普通です。ところが、試験期間に感染者数が増加すると、大学の方針により教室に学生を集めることができなくなる可能性があります。学期末に学生を教室に集めてペーパーテストを受けさせることを前提として授業を開始し、しかし、感染者数が増えたせいで予定した試験の実施が不可能となった場合、授業の内容や進め方の見直しを余儀なくされます。これは、学生にとって不利益変更に当たる危険があります。私自身は、学期の途中で授業の進め方を変えることが誰の利益にもならないと考え、授業の進め方と成績評価の方法が感染者数の増減の影響を受けないよう工夫してきました。これは、前に別の文章に書いたとおりです。
とはいえ、学期末の定期試験によって成績を評価するのとは異なり、毎週オンラインで小テストを実施する場合、たくさんの設問を用意しなければなりません。私は、小テストに毎回3択を3問から4問出題することにしています1 。
3択の問題を大量に作るのは、それ自体としては大した手間ではありません。しかし、学生の方の正答率を適正な範囲に収めるのは至難の業であり、これにはつねに頭を悩ませています。
私が小テストで問うのは、教科書の内容、あるいは、私が用意した資料と動画の内容です。試験範囲は、毎回事前に明示されています。オンラインで実施されるテストですから、教科書、資料、動画の参照に制限はありません。設問のレベルもまた、決して高くはありません。教科書、資料、動画が手もとにあれば、そもそも正答しないことなど不可能であるはずです。
ところが、大抵の場合、実際の正答率は、期待されたレベルに届きません。3択にもかかわらず、正答率が3割を下回る設問すらあります。正答率があまりにも低い場合、大量の不合格者を出さないよう、得点調整します。
それでは、学生の正答率が正規分布になるためには、出題のレベルをどこまで下げればよいのでしょうか。
- 実際には、シャッフル機能を用いて設問をランダムに表示させることができるよう、学生が回答するよりも多くの設問を用意します。 [↩]