私が担当している講義科目は、昨年度と今年度はすべてオンラインで行われています。オンラインとは言っても、ビデオ会議サービスを使ったリアルタイム配信型の授業ではなく、資料や動画を配布するオンデマンド型の授業です。
オンライン授業の場合、動画や資料を一方的に配信して学期末試験のみで成績を評価するのではなく、小テストやレポートで定期的に学生の学習成果を確認することを大学は推奨しています。学生が配信された資料や動画を学期末まで放置し、試験の直前になって勉強を始めることを阻止し、勉強を習慣化させるためです。
2020年度と2021年度の授業では、私は、授業に割り当てられた曜日時限の前日に、教科書の内容を確認する簡単なクイズを毎週オンラインで出題して24時間以内に回答させ、授業時間内に解説の資料を配布します。さらに、学期中に何回か、授業時間後に、私が配布した資料や動画の内容を確認する簡単なクイズを出題します。
前に書いたように、このような方式で評価を分割すると、成績評価の二極分解は避けられません。しかし、教室に学生を集められない以上、これが仕方がありません。
ところで、授業がオンラインで行われるようになってから、私と学生のあいだのやりとりがすべてオンライン上に記録され、これにより、私の授業への学生のコミットメントが可視化されました。
2019年度まで、私の授業への学生の出席率は、2限以降なら平均約20%、1限は10%前後でした。(11月下旬から12月上旬の寒い時期には5%を下回ることもありました。)
これに対し、授業がオンラインに移行してから実施している毎週のクイズには、80%以上の学生が回答しています。このかぎりにおいて、学生の授業へのコミットメントは劇的に改善されたと言うことができます。少なくとも、クイズの出題は、週に1回は私の授業のことを、たとえ数分間であるとしても、すべての学生に強制的に思い出させることに成功している――これを「成功」と呼ぶのが適当であるとするなら――と言えなくもないでしょう。