※この文章は、「23区内への自家用車の乗り入れを原則として禁止したらどうかと思う(前篇)」の続きです。
昨日の文章の最後で示した情報からわかるように、このエリアでは、3階以上の建築物が不可とされる地点が、原則として4階以下の建物が不可とされる地点に直に接しています。(現実には、大半の建物が10階前後です。)そのせいで、住宅地は、環状八号線に面して建てられたマンションの上層階からつねに見下ろされることになります。私の理解に間違いがなければ、外部からの視線を遮ることは、低層住居専用地域において建物の高さが制限されている理由の1つであったはずです。
もちろん、このような都市計画にそれなりの合理的な根拠があることを否定するつもりはありません。また、現在までのところ、環状八号線に沿って壁のように並ぶ高層マンションでは、環状八号線を向く側にベランダが、そして、背後の住宅地を向く側に通路が配置され、「見下ろされている」感じを受けることは現実にはあまりありません。また、私の自宅の場合、環状八号線から少し離れているおかげで、日影が損なわれることもありません。
それでも、私は、不燃物で壁を築いて後背地を守るという発想には違和感を覚えます。というのも、自動車が原因で発生する騒音や火災——現実離れしたことを確信犯的に主張しますが——の対策が問題であるなら、先に検討すべき対策が少なくとも2つはあるように思われるからです。
すなわち、(1)環状八号線をすべて地下または高架にすること、あるいは、(2)23区内への自家用車の乗り入れを制限すること、これら2つのうち少なくとも一方をまず検討すべきであったように思われるのです。
(1)環状八号線というのは、もともとトンネルと高架だらけの道路であり、首都高速と同じように全部の区間をトンネルと高架にしても何ら不都合はないように思われます。少なくとも、杉並区内の区間について言うなら、環状八号線を走る車輌の大半は杉並区内を最終目的地としていないはずだからです。
(2)また、これも突飛な主張のように聞こえるかも知れませんが、そもそも、東京23区内を移動するのに個人所有の自家用車など不要です。公共の交通機関を優先的に使うよう心がける方が、環境への負荷との関係でも、また、金銭の点でも、断然好ましいでしょう。家庭によほど特殊な事情があるのでないかぎり、(所有しているだけでカネがかかる)自家用車には、このようなマイナスを打ち消すだけのメリットは認められないと私は考えています。
以上、突飛な思いつきです。