Home 世間話 郵便番号7桁と情報の冗長性について(後篇)

郵便番号7桁と情報の冗長性について(後篇)

by 清水真木

※この文章は、「郵便番号7桁と情報の冗長性について(前篇)」の続きです。

 それでも、単なる「連絡先」は、どのような状況で使用されるのか、完全には予想することができないまま収集されるのが普通です。「郵便番号と町名以下の住所」しかないと、たとえば、その場所に直に出向くことが必要になったとき、目的地に辿りつくことが困難になるかも知れません。(住所の省略された部分を郵便番号簿を用いて復元する作業が必要となるからです。)したがって、完全な住所を記載するよう求めることは、つねに不合理というわけではないように思われます。

 しかし、宅急便の場合、住所に関する情報の用途はただ1つ、荷物の目的地を確定するためです。それだけに、宅急便で荷物を送り出すとき、郵便番号7桁を伝票に記入しなければならない理由が、私にはどうしてもわかりません。(実際、2000年代前半まで、宅急便の伝票には郵便番号を記入する欄がなく、それでも、荷物は問題なく届いていました。)

 郵便局にとり、郵便番号というのは、宛先の地域の集配局を大体において表示するものであり、郵便の配達の便宜と直結しています。しかし、ヤマト運輸の営業拠点が扱う範囲は、集配局と完全に一致しているはずはなく、荷物の送り主が伝票に記入する郵便番号に実際的な意味があるようには思われません。

 しかも、始末が悪いことに、郵便局が、郵便番号がない郵便物でも、完全な住所が記載されているかぎりにおいてこれを受け付けるのに反し、ヤマト運輸の方は、郵便番号が記載されていない伝票が貼付された荷物を——完全な住所が記載されていても——引き受けません1 。重複した情報の記入あるいは入力を送り主に強いるというのは、明らかな不合理であり、私は、宅急便の伝票を記入するたびに、何か釈然としないものを感じます。

 送り主の便宜を考慮するなら、郵便番号の記入を必須とする代わり、都道府県と市区町村が省略された住所宛の荷物も引き受けるべきでしょう。郵便局にこれができたのですから、ヤマト運輸にできないはずはないように思われるのです。

  1. 形式的に考えるなら、ヤマト運輸の伝票では、この逆、つまり、7桁の郵便番号を正確に記載しても、都道府県や市区町村を省略することもまた不可となるに違いありません。 []

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