私は、ポイントカードをできるかぎり持たないようにしています。
また、買い物するとき、店頭で、アプリを見せると割引になると言われ、携帯電話にダウンロードすることを勧められることが少なくありませんが、勧めに応じたことは一度もありません。理由はただ1つ、囲い込まれるのが大嫌いだからです。(私がFacebookを使わないのも、囲い込まれたくないからです。)
誰でも知っているように、ポイントカードやアプリなるものは、小売店にとっては、客の囲い込みの手段以外の何ものでもありません。小売店は、わずかなポイントと引き換えに、個人情報や購買の履歴を収集しているのです。
また、購入金額に応じてポイントを付与することは、それ自体として深刻な問題を惹き起こすように思われます。これは、以前に述べたとおりです。
もちろん、私がポイントと引き換えに個人情報を譲り渡すことがまったくないわけではありませんが、それは、特定のタイプの商品について、それを購うためにこれまで優先的に通ってきた店があり、かつ、この店がポイント(あるいはこれに似たもの)を発行しているときに限られます。
たとえば、私は、紀伊國屋書店のポイントカードをつねに持ち歩いていますが、それは、毎月の支出のうち、もっとも多くを占めるのが図書費だからであり、私にとり、紀伊國屋書店が本を入手する主なチャンネルの1つだからです。(もちろん、本の購入履歴の全体を把握されないよう、使う店の分散はつねに心がけています。)
また、私は、あるパン屋のポイントカードを持っています。この店は、買い物のたびにマス目にスタンプを押してもらって貯めるスタイルのポイントカードを用いているからであり、私がこれまでに購った商品の記録が残らないからです。
購入履歴や購買行動の全体を把握されるというのは、私にとっては、とても恐ろしいことであり、普段の生活において、私は——生活に支障を来さない範囲においてですが——民間企業に私の個人情報を収集させないよう心がけています。
そして、現在の消費行動の現状をこのような観点から眺めるとき、私は恐ろしさを覚えます。わが国では、携帯電話を用いたQRコード決済サービスが普及しているようです。実際、小売店の店頭において、客が携帯電話を取り出して支払いを済ませる光景を目にする機会は少なくありません。
しかし、私はこのようなサービスを決して使いません。(陰謀論的かつ国粋主義的なことを主張するようですが、)誰がどのような情報をどのような目的で収集しているのか、すべてはわからないからです。日本の法律が及ばない外国の企業や政府に情報が渡っている可能性すらゼロではありません。
多くの人々は、便宜やポイントに釣られて個人情報を譲り渡すこと、言い換えるなら、みずからが「商品」として扱われることについて、あまりにもナイーヴであり、情報管理にもう少し心を向ける必要があるように思われるのです。