セールスの電話というのは、迷惑以外の何ものでもありません。電話がかかってきたときに何をしているとしても、これを中断して電話に出なければならないからであり、しかも、その電話から何も得られるものがないからです。
私は、これまでかかってきたセールスの電話について、その発信者の番号をすべて「セールス」という同じ名前で連絡先に登録してきました。(今では、「セールス」として登録された連絡先は100件を超えました。)着信があったときに「セールス」と画面に表示されたら、その電話は放置します。
しかし、もちろん、初めての業者からの電話には出なければなりませんが、私は、セールスであるとわかったら、何も言わずに電話を切り、上で述べたように、その番号を「セールス」という連絡先に追加します。「結構です」「要りません」「関心ありません」などの応答もしないのが普通です1 。
私がセールスの電話を黙って切ることにしているのは、以前、セールスでかかってきた電話に出て、向こうに先に電話を切られたことがあるからです。一方的なおしゃべりを遮り、「すみませんが、興味あ・・・・・・」まで私が言ったところで、向こうが電話を切ったのです。今から30年近く前、1990年代後半のことです。
セールスする側にとり、カネになる可能性がない通話相手の話に耳を傾けるなど、無駄以外の何ものでもないかも知れません。それでも——電話をかけているのがアルバイトや下請けにすぎないとしても——セールスの電話を先に切ったら、電話の主が告げた会社に対し相手が非常に悪い印象を持つことは確かです。
セールスのために電話をかけ、しかも、相手よりも先に電話を一方的に切ることにより、相手は、将来にわたって自分の会社の顧客となる可能性がゼロとなるばかりではなく、その会社の悪い評判を広めるようになるかも知れません。
セールスの電話をかけているのが平均以上の頭脳の持ち主なら、相手が話している途中で電話を一方的に切ることが、これによって節約された時間には見合わない不利益を会社に与えることを予測するのは困難ではないはずです。
実際、セールスの電話を相手から一方的に切られたのは、これまでの人生において、上に記したただ1回だけです。このときにセールスの電話をかけてきた人物は、「東京電話」を名乗りました2 。
そして、私は、これ以来、「東京電話」という言葉を目にするたびに、先に電話を切られたことを最初に思い出します。
- もちろん、知り合いからの電話をセールスと勘違いし、電話を無言で切ってしまう危険はゼロではありません。実際、この20年くらいのあいだに、対応を誤ったことが1度だけありました。0.01%くらいの確率でこのような誤りを犯してきたことになります。 [↩]
- 電話関係のサービスを提供する会社のセールスが電話の使い方を知らないというのは皮肉なことです。 [↩]