数日前、国立国会図書館が今年の5月から開始した「個人向けデジタル化資料送信サービス」の概要を知る機会がありました。私自身が落手したのは、サービスの利用者向けの資料ではなく、著作者や出版関係者向けの「除外手続き」に関するもの——B5版両面1枚——です。
国会図書館のウェブサイト上には、このサービスによって送信される資料の一覧がエクセルファイルの形で公開されています。特定の資料の送信を停止させるには、一覧をダウンロードし、除外理由を記入して該当部分をメールで送信すればよいことになっています。送信は、国会図書館が示す以下の3つの基準のうち、少なくとも1つに該当する場合に停止させることができます。
事前除外手続および事後除外手続において、除外申出があった場合、以下の要件を国立国会図書館が確認し、いずれかを満たす場合に、除外を行います。
①当該資料又は同内容の著作物が市場(オンデマンド出版及び電子書籍市場を含む。)において流通している場合(おおむね3か月を目安として流通予定であることを公開情報により確認した場合を含む。)
※「同内容の著作物」とは、デジタル化資料の内容を全て含む著作物で、文庫版、作品集・全集、他出版社からの再版等を含みます。
②当該資料又は同内容の著作物の著作権が著作権等管理事業者により管理されている場合
※「著作権等管理事業者」とは、著作権等管理事業法に基づき、文化庁長官の登録を受けて著作権等管理事業を行う者を指します。
③当該資料の著作者から送信利用の停止の要請があった場合(請求者適格の確認により、停止措置をとる。)なお、経済的利益以外の正当な理由(人権侵害、個人情報保護等)により、送信利用の停止の申出があった場合も、別途対応いたします。
https://www.ndl.go.jp/jp/preservation/digitization/distribution.html
現在「個人送信サービス」(←国会図書館はこのような略称を用いているようです)で利用することができるのは、1968(昭和43)年以前の資料であり、したがって、私自身の著作物に該当するものはありません。
私が関係しているのは、祖父の著作物であり、エクセルをダウンロードして確認したところ、対象となる資料は148点あることがわかり、除外申請が必要かどうか、念のため1点ずつ点検して行きました。
書物をデジタル化して送信する試みについては、今から10年以上前、Googleによる書籍のスキャンをめぐり大混乱が発生しました。このときには、Googleは、事前の調査を一切行わないまま、オプトアウトの申し出がなかった資料はすべて送信の対象とするという乱暴な方針を掲げていました。