昨日、次のような記事を見つけました。そして、心の底から寒気を覚えました。
日本人が酒を飲まなくなり、アルコールの消費量が減少しているという政府の認識が正しいかどうかは、私には判断することができません。(純アルコール消費量に換算するなら、むしろ、長期的には飲酒量が増加しているというデータも散見するからです。)ただ、国税庁が主張するように、「アルコール離れ」が、特に若者において目立つというのが事実であるとしても、それ自体としては、何ら問題ではありません。
そもそも、アルコールというのは、身体にとって有害な物質です。したがって、体内に取り込まなくて済むのであれば、取り込まない方が健康にとって好ましいに決まっています。習慣的な飲酒というのは、緩やかな自殺以外の何ものでもありません。
政府がアルコール類に酒税を課しているのには、いくつもの理由があるようですが、酒税の税率が驚くほど高く設定されているのは、国民をアルコールから遠ざけるために他なりません。酒税の税率には、懲罰的な意味合いがあるのです。(タバコ税についてもまた、事情は同じです。)
しかし、残念ながら、酒税の税率をどれほど引き上げても、また、健康に悪いことが明らかであるにもかかわらず、現在はまだ、飲酒をどうしてもやめられない「嘆かわしい人々」が国民の大半を占めています。表現をあらためるなら、理想は、万人が酒を飲まなくなり、国民がアルコールを消費することによって政府が手にする税収が最終的にゼロになることです。現在のように、アルコールと縁を切ることができない意志薄弱な国民の足下を見るような形で酒税をかすめとることは、政府にとり決して本意ではないはずなのです。
当然、原因は何であるとしても、「アルコール離れ」が事実であり、酒税による税収が減少しているのなら、これほど悦ばしいことはありません。
このような点を考慮するなら、アルコールの消費を増やすためのアイディアを募集する試みが、酒税なるものの趣旨に全面的に反することは明らかです。アルコールの消費を増やすことにより、税収を増やすことが国税庁の計画であるのかも知れません。けれども、アルコールの消費が増えるなら、その分、国民の健康が損なわれることは確実です。国税庁は、税収が増えるなら、国民の健康がダメージを受けてもかまわないと考えていることになります。アルコールの消費量を増やし、国民の健康を毀損することは、税収を増やすための必要条件だからです。
国民の健康が犠牲になってもかまわないから税収がほしい、というのが国税庁の見解であるなら、これは、反社会的集団、特に覚醒剤を取り扱う者たちの発想と何ら異なるところがないように思われます。
覚醒剤の売人は、自分が販売する商品が心身の健康を損なうものであることを明確に理解していながら、それでも、販売をやめることはありません。客の健康にダメージを与えることが利益を得るための必要条件だからです。
税率を変えずに税収を増やそうとするなら、アルコールの消費量を増やし、国民の健康を犠牲にする以外に道はありません。アイディアの募集を始めるに当たり、国税庁がこの点を明確に理解しているのなら、これは、反社会的集団と同じです。この企画を思いついたのが誰であるのか知りませんが、私は、この企画が公になる前に、政府関係者の誰もこれを止めなかったことに驚きと寒気を覚えています。