明治大学の駿河台キャンパスと通りを距てた反対側を奥に入ったところに東京古書会館があります。私が最初にここを訪れたのは、1990年代初め、まだ学部生のころであり、そのときには、今の古書会館がある場所には、一代前の古書会館がありました。
その後、現在まで、古書会館の地下で開催される古書展には何回か足を運んでいます。ただ、古書会館で開かれる古書展の初日は金曜日であり、しかし、私の方は、明治大学に勤務しているにもかかわらず、残念ながら、金曜日に駿河台を訪れる機会がほとんどありません。授業のために駿河台に行くことはあっても、古書展に立ち寄って本を眺める余裕などないのが普通です。
しかし、今日は、和泉キャンパスで2限の授業を終えたあと、午後の遅い時間に駿河台で所用があったため、空いた時間を利用し、古書会館に久しぶりに出かけました。今日から始まったのが「洋書まつり2022」というイベントであったからでもあります。
現在の日本では、蔵書を処分するのは決して容易ではありません。(「稀少性」の観点から眺めるなら明らかに転倒した事態なのですが、)和書の場合、本の発行年が古くなるほど需要が減少し、処分が難しくなるのが普通です。古いにもかかわらず高値で引き取ってもらえるのは、ごく少数の特殊な書籍のみです。
それでも、和書については、ブックオフに代表される新古書店が処分をいくらか容易にしてくれます。これに対し、洋書には、和書におけるブックオフに相当するものがありません。洋書の場合、よほど特殊なものを除き、ゴミとして廃棄する意外に処分の道がないのです。このような状況のもとで、洋書専門の古書展に赴き、自宅の書架の貴重なスペースを占拠するかさばる本を購入するなど、正気の沙汰ではないのかも知れません。
それにもかかわらず、今日の午後、私は、古書会館に赴き、そして、7冊もの分厚い洋書を購入しました。重さは5キロを超えました。しかし、7冊で合計わずか5100円でした。