昨日、次の記事を読みました。
この件では、大山氏の言動に否定的に反応している人が多いようです。しかし、私自身は、評価を保留します。現時点では、評価の手がかりとなりうる次の2つの点について報道がなく、事柄全体が不自然に見えるからです。
まず、大山氏は、路線バスを日常的に利用していたのではないように見えます。バスをいつも使っていたなら、ベビーカーを押して乗降する客を一度ならず目撃しているはずであり、乗り方、降り方、車内のマナーなどをはじめ、ベビーカー利用の環境を具体的に知らなかったはずはないからです。
普段は路線バスを使っていなかったであろう大山氏が、なぜ今回、ベビーカーの持ち込みについて相対的にハードルが高いはずの路線バスを移動手段としてあえて選んだのか、その事情については報道がありません。
次に、次のような疑問が私の心に浮かびました。
小さな子どもや障がい者など、「弱者」に当たる同伴者とともにそれなりの距離を移動するのは、時間的にも体力的にも本当に大変です。使ったことがない移動手段や、行ったことがない目的地なら、なおさらです。
このような場合、誰でも、本人と同伴者のストレスを回避し、出発地から到着地までもっともスムーズに移動するため、最適なコースと手段を選ぼうとするはずです。
具体的には、行程を頭の中で繰り返しシミュレートし、考えうるリスクを洗い出しながら、事前の情報収集、問い合わせ、相談などを、万全を期して漏れなく行おうとするのが普通です。
特に路線バスは、定時運行が完全ではなく、また、バス停に待合室などもないでしょう。定刻に乗車できず、吹きさらしの中で親子ともども待たされる、などというありがたくない状況が発生する危険は、他の交通機関よりも格段に高いはずです。
どうしてもバスを使わなければならないのなら、特に入念に下調べし、事業者にも事前に問い合わせて移動手段として現実的かどうか吟味するというのが、普通の人間の感覚であるように、私には思われます。
しかし、今回、大山氏は、「バスに乗る前」と「バスを降りてから」の行程についてはわかりませんが1 、少なくともバスについては、双子をベビーカーに乗せているにもかかわらず、また、慣れない移動手段であるはずなのに、なぜか下調べすることなく、いわば「ぶっつけ本番」で乗車しようとしたように見えます。
路線バスの利用について、あえてこのような冒険的な行動に打って出た理由もまた、これまでのところ報道されていない点であり、このような点が明らかにならないかぎり、大山氏の行動の是非を評価することは困難であるように思われるのです。
- 今回の問題との関連で思い出すのは、2021年年春に報道された次の出来事です。
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