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NHKの受信料は支払っておいた方がよいと思う

by 清水真木

文句を言う権利を確保するためだけにでも受信料は支払うべき

 NHKとのあいだで受信契約を締結しておきながら、受信料を支払わない人が少なくないようです。支払わなかった場合に何か実害があるかどうか、私は知りません。

 預金を差し押さえられたり訴えられたりする危険を冒して断固不払いを選択するというのなら、それは1つの決断であり、私はこれを尊重します。しかし、不払いに関し、「NHKの番組の内容に不満がある」「組織としてのNHKが嫌い」という程度のつまらない理由しかないのなら、受信料は支払うべきであると私は考えています。私自身は、NHKの受信料を踏み倒したことは一度もありません。

 少なくとも「NHKの番組の内容に不満がある」というのが不払いの理由なら、不満を表明する権利を確保するためだけにでも、受信料を支払うべきでしょう。なぜなら、少なくとも形式的には、NHKの番組の視聴は、受信料を支払った者の権利だからです。受信料を支払っていない者には、NHKの番組を視聴し批評する資格など与えられてはいないのです。

NHKとの受信契約を解約した

 ところで、私は、今はNHKと受信契約を結んでいません。したがって、受信料も支払っていません。
 去年の夏、ケーブルテレビを解約しました。初めて契約して回線を引いたのが大学院生のころでしたから、30年近く契約していたことになります。これは、以前に述べたとおりです。

 ケーブルテレビと契約した直接のきっかけは、自宅の庭にあった高さ20メートルほどの大きなヒマラヤスギでした。これが受信障害を惹き起こし、テレビの電波が届かなくなったのです。さらに、ヒマラヤスギに集まるカラスが毎日のようにテレビのアンテナに衝突するようになり、アンテナが事実上使用不可能となっていました。

 そして、ケーブルテレビを契約するのと同時に、NHKとの契約も、ケーブルテレビを経由した団体契約に切り替え、その後、去年の夏まで、NHKの番組はケーブルテレビ経由で観ていました。

 しかし、ケーブルテレビを解約したのなら、NHKの受信契約を放置するわけには行きません。ケーブルテレビを解約すると、ケーブルテレビの会社からNHKに連絡が行き、その後、NHKから私に契約書と払込書が送られてくる、このことは、会社の方から事前に伝えられていました。ただ、実際には、NHKからの書面が届いたのは、ケーブルテレビを解約してから1ヶ月近く経ってからでした。

 私は、早速NHKに電話し——しかし、つながるまでに2日かかりました——テレビ受像機もアンテナも持っていないから、解約したいと伝えました。電話に出たNHKのオペレーターからは、解約の理由についての確認があったのち、(1)1週間以内に解約のための書類(「放送受信契約解約届」)を送るから、必要事項を記入してさらに1週間以内に返送するように、(2)(月末になっていたため、)書類の到着が月をまたぐ可能性があり、その間に請求書が自宅に届く可能性があるが、解約関係の書類をそれ以前に返送してもらえれば、その請求書は廃棄してくれてかまわない、の2点について説明がありました。

 数日後、NHKから請求書が届き、さらに、その数日後、解約届が送られてきました。私は、その日のうちに記入して返送しました。請求書はそのまま廃棄しましたが、請求書が重ねて届くことはありませんでした。

NHKの番組を観たいときには

 ただ、現在でも、私は、NHKの番組をときどき観ることがあります。最近は、受信契約がなくても、NHKオンデマンドのサービスを利用することにより、(すべてではないとしても)それなりの数の過去の番組を観ることができるからです。私は、このサービスを使ってNHKの番組をときどき観ています。

 月額990円(2023年1月現在)という値段の評価は、人によって違うかも知れませんが、私は、おびただしい数の番組がアーカイブされていること、視聴に関し場所や機器の制限がないことを考慮するなら、990円が高いとは思いません。NHKの受信料が多少値下げされているとはいえ、今はまだ、NHKと普通に契約した場合に支払う受信料よりもNHKオンデマンドの方が安いことは確かです。(ただ、NHKオンデマンドでは、ニュース番組は配信されません。)受信料を支払うのが癪に障るのなら、周辺的なサービスを利用するのも1つの選択肢であるに違いありません。

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