Home やや知的なこと ブロゴスフィアとは何だったのか(前篇)

ブロゴスフィアとは何だったのか(前篇)

by 清水真木

「個人ブログ」の凋落

 しばらく前、次の記事を読みました。

 私がこのブログを開設したのは2021年7月のことです。それ以来、なぜブログの更新を続けているのか、自分に毎日のように問い続けてきました。(そして、最終的な答えを手に入れてはいません。)

 上の記事が繰り返し強調しているように、ブログ、特に個人によって更新されるブログというのは、2023年の現在、多くのインターネットユーザーを惹きつけるメディアではありません。私は、今でも約10人のブロガーのブログを継続的に読んでいますが、10年前には、何倍ものブログに目を通していました。

 サイバー空間で更新されている膨大なブログの相当部分は、今も昔も、何か技術的な問題の解決を提案するような記事からなる「実用的な」ブログです。しかし、このようなブログは、具体的な問題に逢着したときにその都度検索エンジンを経由してアクセスするものであり、読者となって継続的に目を通すものではありません。私が読者となっていたのは、実用的なブログではなく、私とのあいだに興味の接点が1つでも見つけることができたブロガーの文章です。

 とはいえ、時間の経過とともに、このようなブロガーは、少しずつ姿を消し、しかし、代わりに面白そうなブログが新たに見つかることも次第に少なくなって行きました。「ブログ」という形式を借りて何かを公表し続けている人口に大きな変化はないかも知れないとしても、上の記事、そして、上の記事がリンクする同じ筆者の別の文章が繰り返し強調するように、更新が続けられているブログの少なくはない部分は、それなりに真面目に書かれた文章から、金儲けや詐欺を目的とする空虚な宣伝文へと代わりました。現在では、ブログの世界は、言葉のもっとも広い意味において「知的」な関心を持つネットユーザーが踏み込む場所ではなくなりつつあるのかも知れません。(中篇に続く)

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