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「コード・カッティング」について

by 清水真木

 先月末、ケーブルテレビを解約しました。私の記憶に間違いがなければ、最初に契約したのは1990年代前半のことですから、約30年間も加入していたことになります。加入していた期間がこれだけ長期に及ぶと、解約するには相当な勇気が必要となります。解約を思い立ったのはもう何年も前ですが、バチが当たるような気がして、なかなか実行することができませんでした。

 10年くらい前から、ケーブルテレビを解約してインターネットを利用した動画視聴サービスにこれを置き換える「コード・カッティング」がアメリカを中心として目立つようになりました。私自身は、NetflixやHuluのようなサービスは使っておらず、したがって、厳密には、私がケーブルテレビを解約しても、「コード・カッティング」には当たりません。

 ただ、ケーブルテレビでなければ見られない番組が特にないのなら、ケーブルテレビの利用料は総じて割高です。また、私は、加入していたJ:COMからインターネット接続や携帯電話の契約などとの「抱き合わせ」を繰り返し強く勧められていました。テレビの加入者数の減少を抱き合わせによって補うという戦術だったのかも知れませんが、私にとっては、この抱き合わせ販売による「囲い込み」も、解約を最終的に決めた理由の1つでした。(私は、何についても、囲い込まれるのが本当に嫌いです。抜け出すのに余計な体力が必要になるからです。)

 ケーブルテレビを止めてしまったため、私の家は、地上波や衛星放送を受信していません。アンテナがないからです。(テレビ受像機はありますが。)つまり、今は、テレビを観ることができません。ルールの上では、受像機があっても、アンテナがなければ、NHKに受信料を支払う必要はないことになります。テレビなしの生活をしばらく続け、地上波や衛星放送を見る必要に迫られたら、そのときにあらためてアンテナの設置を検討します1

 ところで、私は、NHKに受信料を支払うことについては、特別な拒絶感を持っていません。NHKに満足しているというわけではもちろんありません。

 現在の日本の法律では、NHKの受信料は、受信可能な機器を持っているかぎり、必ず支払わなければならないことになっています。NHKに不満を持ち、受信料を支払う必要などないとかたく信じていても、今のところは、受信料を支払わないことは違法です。受信料を支払わなくても済むよう法改正を働きかけるのは大いに結構ですが、それでも、その間は、受信料を支払い続けなければなりません。

 受信料を支払う必要がないと思うから支払を拒絶するというのは、民主主義と法の支配の意味がわかっていない幼稚な人間のすることです。標準化された表現に更めるなら、「自分が気に入らないルールなら守らなくてもよい」ということになります。これは、正気な大人なら、決して真似してはいけない野蛮なふるまいです。

  1. とはいえ、アンテナを屋外に設置すると、家の美観は否応なく損なわれます。できればこのまま、テレビなしで生活したいものです。 []

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