※この文章は、「中野駅で電車を乗り換えたくない2つの理由について(前篇)」の続きです。
2. 電車の行き先がホームごとに整理されていない
中野駅について、私は、つねに混雑して歩きにくいという印象を持っています。この印象が事実に合致しているのなら、それは、「どの路線のどの方面の電車にどのホームで乗ることができるのかが固定されていないせいで、乗客の動線が複雑になる」からであるかも知れません。
そもそも、わが国では、鉄道は、自動車とともに「左側通行」を原則としています。ただ1つの島式ホームからなる駅(典型的には1番線と2番線のみの駅)の場合、ホームの中央に立つと、電車の動きは「時計回り」になります。すなわち、線路が延びる方向を正面にして立つと、ホームの右側の線路を走る電車は必ず前方から、ホームの左側の線路を走る電車は必ず背後から来るはずです。実際、中央線の駅のうち、吉祥寺駅から高円寺駅までの5つの駅では、この原則のとおり、1番線に各駅停車の下り、2番線に各駅停車の上り、3番線に快速の下り、4番線に快速の上りが停車します。
ところが、高円寺駅の隣の中野駅については、この原則が通用しません。総武線と東西線には、中野駅止まり、あるいは、中野駅始発の電車があるのですが、中野駅は、上記の左側通行の原則に従わず、これら2つの路線に関し、それぞれ「中野を通過する電車」と「中野で折り返す電車」でホームが区別しているからです。したがって、たとえば、東西線に乗って大手町方面に行きたいとき、三鷹駅始発の電車と中野駅始発の電車では到着するホームが異なることになります。(さらに厄介なことに、時間帯によっても事情は変化します。)
もちろん、この区別は、乗客にとってはほとんど意味がなく、乗り換えのとき、乗る予定の電車の発車時刻に間に合わない——コンコースが混雑しているため、このようなことは頻繁に起こります——と、同じ行き先の次の電車に乗るために、別のホームに移動しなければなりません。
私は、日本の駅の仕組に通じているわけではなく、中野駅のような混沌が他の駅でも見られるのかどうか知りません。もちろん、中野駅において、このような不便かつ不親切な状態があらためられないのには、相応の事情があるはずです。しかし、乗り換えのために歩く距離が長いわけではないにもかかわらず、乗り換えのたびに乗客に苦労を強いるような状況は、それなりの費用を投じてででも解消するに値することであるように私には思われるのです。