私の自宅の最寄り駅は荻窪駅です。したがって、中央線でも、総武線でも、JRに乗り入れている地下鉄東西線でも、私にとり、中野駅は通過するだけの駅であり、中野の街に用事がないかぎり、中野駅で電車に乗ったり、電車を降りたりすることはありません。
それでも、中野駅で電車を乗り換える機会が年に何回かあります。東西線の直通運転がなんらかの事情で休止になり、中野駅始発の上りの東西線に乗らなければならないとき、都心方面から帰宅するために乗った総武線や東西線が運悪く中野止まりであったとき、あるいは、同じく帰宅するために乗った中央線が特別快速であったとき・・・・・・、このようなときには、中野駅で電車を乗り換えることが必要になります。
しかし、中学校に入学してから40年以上のあいだ、必要に応じて中野駅で電車を乗り換えてきたにもかかわらず、乗りたい電車が何時何分に何番線に到着するのか、乗り換えを何回繰り返してもいまだに直観的にはわかりません。ホームを間違えたり、乗る電車を間違えたり、コンコースの雑踏の中で立ち止まって電光掲示板を何回も確認したりしたことは、これまで数え切れないほどあります。私は、中野駅よりもはるかに複雑な新宿駅で電車を乗り換えるのに苦労したことはありません。中野駅には、私の自然な行動のパターンに逆らう何かがあるに違いありません。
それでは、(これが私の問題ではないとするなら、)中野駅の何が問題であるのか。さしあたり思いつくのは、次の2つの事実です。
1. 利用者数の割に駅が狭い
JR東日本が公表しているデータによれば、中野駅の2020年度の乗車人員は103284人です。(新型コロナウィルス感染症の影響により、2019年度とくらべて約30パーセント減少しています。)この数字は、JR東日本のすべての駅の中で20番目、中央線の駅としては、新宿駅、東京駅、立川駅に続いて4番目に当たります。中野駅は、利用者数の点では、日本でもっとも大きな駅の1つであると言うことができます。
しかし、これだけ多くの乗客が利用するにもかかわらず、中野駅は、決して広い駅ではありません。コンコースは実に窮屈であり、延床面積1 は、新宿駅の10分の1くらいではないかと想像します。(なお、新宿駅の乗車人員は中野駅の約3倍です。)(後篇に続く)
- ここで問題にしているのは、普通の乗客が立ち入ることができる改札内の空間の面積のことです。改札外のスペースは含みません。また、中野駅には広い車庫がありますが、これも面積に含めません。 [↩]