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「マインドフル・イーティング」なるものについて

by 清水真木

 何年か前から、「マインドフル・イーティング」(mindful eating) という言葉をときどき目にするようになりました。これは、「マインドフルネスの食事版」です。

 関連する文献やネット上で公開されている記事に目を通した範囲では、「マインドフル・イーティング」とは、食事中にテレビを見たり本を読んだりするのをやめ、食べることと食べものに注意を集中することであり、これにより、わざとらしい瞑想をしなくても、マインドフルネスと同じような効果を期待することができる、というというもののようです。

 私自身は、マインドフルネスには興味がありません。そもそも、「瞑想」するとは何をすることなのかサッパリわかりません。

 それでも、マインドフル・イーティングに関する文章を読むと、そこには必ず「ダイエットに効果がある」ことが記されています。私は、マインドフルネスには興味はありませんが、ダイエットの方にはさまざまなレベルにおいて強い関心があります。そこで、食べることと食べものに注意を集中して食事することを心がけてみました。

 たしかに効果はありました。わずか1日で食欲がなくなり、食事が恐ろしく感じられるようになりました。心落ち着いたからではなく、自分が作る料理が不味いことを無理やり確認させられたからです。

 その後は、食べものを見るたびに、「不味かったらどうしよう」と懸念が心に浮かぶようになりました。マインドフル・イーティングがダイエットに効果があるとするなら、私の場合、それは、不味いものを食べることへの恐怖を惹き起こすかぎりにおいてです。したがって、減量が成功するとしても、あまり幸せなことではないような気がします。「お前が作るメシが不味すぎるだけのことだろ、自分のメシの不味さに怯えるなんてマインドフルでも何でもない」と言われれば、まったくそのとおりではありますが……。

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