Home 世間話 いわゆる「3D酔い」について(後篇)

いわゆる「3D酔い」について(後篇)

by 清水真木

※この文章は、「いわゆる「3D酔い」について(前篇)」の続きです。

 3D酔いは、「ゲーム酔い」という別名を持つという事実が雄弁に物語るように、ビデオゲームが原因で起こる症状と見なされているようです。”Portal”のように、手もとの操作だけで画面が上下前後左右に烈しく動くタイプのゲームなら、どのようなものでも3D酔いが起こるのでしょう。実際、YouTubeにアップロードされたゲームの「実況動画」や「予告編」が目に入っただけで軽いめまいが起こったこともあります。

 最近1年くらいのあいだ、「メタバース」という言葉をニュースで見かけることが増えました。

 もともと、私自身は、このタイプの仮想的な空間の価値や意義については懐疑的です。今から20年近く前、2003年にサービスが始まった”Second Life”は、ごく短いあいだメディアで話題になったのち、急速に忘れられて行きました。調べてみたところ、意外なことに、現在でもなおサービスが続いているようですが、どのくらいの人口が利用しているのかはわかりません。

 これと同じように、メタバースは、技術の発達のおかげで少しは便利になったとしても、また、新型コロナウィルス感染症の流行のおかげで多少の需要は期待することができるとしても、社会のインフラになる可能性はないと私は確信しています。

 しかし、私の予想が外れ、メタバースが社会のインフラになったとしても、私自身は、「VR酔い」という第2の別名を持つ3D酔いのせいで、この恩恵に与ることができないかも知れません。メタバースを利用しないと不利益を被るような社会なるものが誕生するなら、それは、私にとって悪夢以外の何ものでもないでしょう。

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