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大型連休の精神衛生について

by 清水真木

 今年のゴールデンウィークが終わりました。

 私は、昔から、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始に代表される大型連休を苦手としています。少なくともこれまでの人生において、このような休みが楽しみであったことはありません。

 たしかに、「児童」「生徒」であった時期には、夏休み、冬休み、春休みが楽しみではなかったわけではありません。当時の私にとり、学校は、「この世に出現した地獄」以外の何ものでもなく、休みというのは、教室に行くという苦役から解放される期間だったからです1 。私の場合、夏休み明けに苦痛を感じなくなったのは、大学に入学してからです。

 しかし、「学校に行かなくて済む」以外には、夏休み、冬休み、春休みが楽しみになる積極的な理由は見当たりませんでした。通常なら学校にいる時間が、休みに入ると、そのまま自宅(あるいは予備校や塾)での勉強と家事労働の時間に置き換わるだけで、遠くまで旅行したり、特別な場所に出かけたりすることはなかったからです。

 したがって、私にとって、人生のある時期以降、長期の休みというのは、平日と週末の区別すら失われた、同じような日課が繰り返される——見るテレビ番組が曜日によって違うくらい——非常に退屈な期間でした。休みが始まるとともに、学校が地獄であることはわかっていながら、休みが終わるのを楽しみにしていました。

 実際、私の記憶の範囲では、小学校5年生以降、祖父母が箱根に持っていた別荘を夏休みに訪れて数日滞在したことが何回かあった他は、休み中に家族で遠くに出かけたことはありません。

 前に書いたように、私の一家には、東京以外の故郷というものがありません。「お盆休みに帰省する」などという行動は、私には無縁のものでした。

 現在でも、私は、長い休みに特別なことをする習慣を持ちません。どこにも出かけず、誰とも口をきかないせいで、精神的な意味での「無重力」の空間に放り込まれたような居心地の悪さをいつも感じ、消耗した状態で休みを終えます。私にとって、大型連休中というのは、精神衛生上あまり好ましくない期間であることになります。

 どうやら、私は、「休日の楽しみ方」なるものを身につける機会がないまま大人になってしまったようです。

  1. だから、夏休み明けに学校に行きたくない子どもの気持ちがよくわかります。 []

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