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「コロナは風邪」と言うけれど

by 清水真木

 最近、新型コロナウィルス感染症の法律上の類型を2類から5類に変更する可能性が政府の内部で検討されていることが報道されました。

 この見直しが行われると、受診することができる病院の範囲が少し広がったり、外出自粛の必要がなくなったり、濃厚接触者の自宅待機がなくなったりするようです。たしかに、これは、小さくはない変化であるに違いありません。

 しかし、社会のより広い範囲に直に影響を与えるのは、屋内でのマスクの着用が不要になる場面が増える可能性が高いことでしょう。しかし、私は、政府が「屋内でマスクをつけなくてもよい」と宣言しても、当分のあいだ、屋内でも屋外でも、マスクを着用するつもりです。

 新型コロナウィルス感染症の流行が始まったころから、「コロナは風邪」と叫ぶ人がいました。今でもいます。「コロナは風邪」というのは、「新型コロナウィルス感染症の症状は、風邪と似たようなものだから、大したことはない」という文を短縮したものであるはずです。実際、現在わが国において流行している新型コロナウィルスの変異株の毒性は弱く、患者の体力や健康状態、体質などに応じて症状が多少は異なるとしても、事実は「コロナは風邪」に近づいているように見えないことはありません。

 それでも、私がマスクの着用を続けます。風邪すら引きたくないからです。パンデミック以前も、私は、11月から3月のあいだは、外出するときには必ずマスクを着用していました。風邪とインフルエンザの予防のためです。予防するためのそれなりに確実な手立てがあるのに、この手立てを用いることなく、そして、病気に罹ったら、それは不作為以外の何ものでもありません。

 特に、日本は、風邪を引いたら仕事を休み、自宅でゴロゴロしていられるような社会ではありません。大人には、病気でも仕事を休むことができないのが普通です。このような状況のもとでは、「病気をおして働く」よりも、「病気にかからない」ようマスクで身を守る方が好ましいことは明らかでしょう1

 新型コロナウィルス感染症とマスクについて私と意見を同じくする人が多数派であるのか、それとも、少数派であるのか、私にはわかりませんが、自分のマスク姿が周囲から浮いていると感じるようになるまでは、マスクを外さない方が無難であるような気がしています。

  1. 最近、次の動画を偶然に見つけました。撮影場所はドイツのハンブルク、撮影時期は明記されていませんが、17分15秒あたりに、赤地に白で「CORONA TESTZENTRUM」と大きく記された看板が映っていますから、2022年の夏のハンブルクであるに違いありません。映っているのは大半が観光客のはずですが、ほとんど誰もマスクを着けていません。日本の観光地がこのような状況になるには、しばらく時間がかかるでしょう。

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